トーキョー家族・トーキョー物語

この年末年始は初めて都会で過ごすことにした。

トーキョーに住む娘から先月のうちに提案を

受けていたのだ。

普段の忙しない暮らしを知ってか、

「お正月はこっちでたまにはのんびりと何日かを過ごしたら？」と言ってくれた。

都会の喧騒、人混みや地震の事などが頭の中を過ぎったが、田舎にいて酒浸りになるよりもしかすると健康的に正月休みを過ごせる事になるのかもと從う事にしたのだった。

トーキョーは思ったより静かで空も澄み切っていて

ゆっくりとした大晦日を迎えている。

先ほど末の娘と連れ立って近くの商店街に今夜の買い出しに出かけた。

流石に年越しの買い物客で賑わっていた。

そんなこんな

娘家族にも歓待されていて、

笠智衆、橋爪功のやうな面持ちなっているのだ。

高層のベランダからは都市が静かな年越しの夕暮れを迎えようとしているのが望める。