2008年 08月 08日
川デビュー |
小学生になると夏休みは否応無く近所の高学年の子に
川に連れて行かれた。
家のすぐ近くの川は大きな瀬がありその先には不気味に深い緑色の淵があった。
まだ泳げないうちは小さな入り江のような水溜り(タンポコと呼んだ。)に入って
水浴びのようなことをするのだがそのうち、古タイヤのチューブの浮き輪に
つかまって本流にデビューすることになる。
最初のうちは浮き輪の中に入っていても深い淵を向こう岸に渡るのはとても恐怖だった。
今にも淵の底から祖母の話で聴いていたエンコウが足を引っ張るのではないかと思うと
気が気ではなかった。
だから年上の子に引っ張ってもらって何とか対岸にたどり着くことが出来るのだった。
そのうち上流の瀬からチューブに乗って豪快に流れるのも楽しみになった。
飛沫が顔を叩き、水中の足が時折岩にあたり痛かった。
怖さ半分爽快感半分で流れに身を任せた。
でも依然として、チューブなしでは泳ぐことは出来ないのだ。
そうしてそろそろ川になれた頃に突然、洗礼は襲ってくる。
いつものように親切にチューブを引っ張ってくれていた年上の子が淵の中央あたりで
いきなり潜ると、僕の足を引っ張って水の中に引きずり込んだのだ。
あまりに突然のことで何が起こったのかもわからないうちに鼻の穴に水が入り込み
やがて口の中にも・・・アップアップ状態で手足をバタバタとバタつかせるしかない。
思いっきり水を飲み、沈みそうになるのをやっとこさ堪えて涙目で必死で水を蹴った。
気が付くとすっと彼の手が伸びてきて体を支えてくれた。
恐ろしさと安心が半々で涙が溢れ、なにやら訳のわからない叫び声をあげて彼の体にしがみついていた。「泳いでみい、泳いでみい」彼は何度も叫んでいた。
ふっと浮揚感を感じていた。
川岸に上がると一目散に家に帰った。
畳にうつぶせになりヒクヒクといつまでも泣いていた。
そんなことがあってしばらくは川に行くことを止めた。
同級生がチューブなしで泳げるようになったという話を誰かから聴いた。
夏休みはまだ半月ばかり残っていた。
川に連れて行かれた。
家のすぐ近くの川は大きな瀬がありその先には不気味に深い緑色の淵があった。
まだ泳げないうちは小さな入り江のような水溜り(タンポコと呼んだ。)に入って
水浴びのようなことをするのだがそのうち、古タイヤのチューブの浮き輪に
つかまって本流にデビューすることになる。
最初のうちは浮き輪の中に入っていても深い淵を向こう岸に渡るのはとても恐怖だった。
今にも淵の底から祖母の話で聴いていたエンコウが足を引っ張るのではないかと思うと
気が気ではなかった。
だから年上の子に引っ張ってもらって何とか対岸にたどり着くことが出来るのだった。
そのうち上流の瀬からチューブに乗って豪快に流れるのも楽しみになった。
飛沫が顔を叩き、水中の足が時折岩にあたり痛かった。
怖さ半分爽快感半分で流れに身を任せた。
でも依然として、チューブなしでは泳ぐことは出来ないのだ。
そうしてそろそろ川になれた頃に突然、洗礼は襲ってくる。
いつものように親切にチューブを引っ張ってくれていた年上の子が淵の中央あたりで
いきなり潜ると、僕の足を引っ張って水の中に引きずり込んだのだ。
あまりに突然のことで何が起こったのかもわからないうちに鼻の穴に水が入り込み
やがて口の中にも・・・アップアップ状態で手足をバタバタとバタつかせるしかない。
思いっきり水を飲み、沈みそうになるのをやっとこさ堪えて涙目で必死で水を蹴った。
気が付くとすっと彼の手が伸びてきて体を支えてくれた。
恐ろしさと安心が半々で涙が溢れ、なにやら訳のわからない叫び声をあげて彼の体にしがみついていた。「泳いでみい、泳いでみい」彼は何度も叫んでいた。
ふっと浮揚感を感じていた。
川岸に上がると一目散に家に帰った。
畳にうつぶせになりヒクヒクといつまでも泣いていた。
そんなことがあってしばらくは川に行くことを止めた。
同級生がチューブなしで泳げるようになったという話を誰かから聴いた。
夏休みはまだ半月ばかり残っていた。
by rinken-style
| 2008-08-08 15:10
| 高津川ラプソディ